Q 現在どのような活動・お仕事をされていますか?チームラボというアートコレクティブに所属しています。国内・海外で作品展示の企画・制作進行をし、実際に現場でのインストールまでを担っています。チームラボでは一つの作品、エンジニア、デザイナー、CGアーティスト、サウンドアーティスト、建築家など多くのスペシャリストで制作を進めます。私たちのものづくりは一人では完結しません。私は彼らの中で作品の軸に立ち、作りたいものを定めたり、スケジュールや開発の規模など管理し、チームを動かし作品を展示し完成させる責任を持っています。進め方や特色が全然異なるのでとても面白いです。( 11 )3年次・メディア芸術応用/4年次・メディア芸術総合+卒業制作研究Q 学生時代はどのようなことに取り組んでいましたか?多摩美のメ芸に入る前は、高専で電子情報や物理を専攻に勉強していました。写真や映像などに趣味で取り組んでいた私は、自分の専門分野とメディアを融和できないかと考え、多摩美でメディア芸術を勉強しようと思いまQ どのような作品を作っていますか?主にテレビ番組で培われてきた演出や要素を使った映像や、短編ドラマ、3年次からは木工を用いた人が入ることのできる立体物のインスタレーションなどを制作しています。出演者やスタッフなど何かと多くの人に協力してもらう制作形態が多く、人が多く集まる時に発生する特有のドタバタを作品に組み込んでいます。Q 自分の所属ラボを選んだ理由はなんですか?1年に約4回訪れる講評の時期になると、学内に展示してある各ラボの先輩の作品を見る機会があるのですが、その際にイメージラボで活躍する先輩方の作品が自分の今後作って行きたい作品の路線に近いと感じてイメージラボにしよう!と決めました。他のラボに行った友人などと話をすると各ラボで授業のした。特に時間という概念に強く惹かれ、時間を題材にした表現を模索していました。Q 学生時代の卒業制作「DURING」を実現するのは、かなり大変でしたか? この作品を作った経緯を教えてください。「時間は誰にでも平等に流れているのに、なぜこうも速く感じたり、遅く感じたりするのだろう」という疑問が出発点でした。物理を学んで一番興味深かったのが、“現在耳は証明できないということです。それでも今という時間の伸び縮みは人々の体感に必ずあり、示現在耳という概念を再現したいと思いました。 光と速度という現象をメディアとして捉え、表現・発表するのにかなり苦戦しましたが、完成できてよかったです。Q ご自身の制作に影響を与えた作品(アーティスト)はありますか?まず、相対性理論は間違いなく自分にパラダイムシフトを与えてくれた存在です。また、BleachersというアメリカのバンドでQ 大学生活の中で学んだ一番大切なことはなんですか?自分じゃできない!という思い込みを捨てることだと感じます。大学に入り様々な分野で活動している何かにこだわりを持っている仲間たちに触れながら日常を過ごす中で、「そんなのアリなのか!?」と考え方や概念を曲げられてしまうような衝撃の数々を目の当たりにしました。そうした発見が制作に行き詰まった時、無理やり背中を押してくれることもあります。Q 影響を受けたアーティスト、自分を支えてくれているアーティストは誰ですか?どうしてもこの人が一番!と言えるような影響を受けたアーティストなどはパッと浮かばチームラボ《捕まえて集める恐竜の森》 ©teamLabチームラボ《生命は闇に浮かぶまたたく光 - ネモフィラ》©teamLabQ 学生時代の経験で、今に活かされていることはありますか?多摩美で培ったチカラは物事を完成させる根気です。どんな傑作も、発表するまでは他人にとって意味を持ちません。その作品にとって、自身ができる最もリスペクトのある行為は、完成させることだと学びました。これは仕事でも同じです。また、4年次の卒業制作展での代表を務めたことも大きな経験でした。多摩美の学生は皆、こだわりが強くそれぞれの意見をまとめるのが大変でしたが、日々じっくり話し合って納得のいく展示を作り上げたことは、チームラボでの仕事でも活かされていると実感します。す。彼の音楽は、人々の葛藤を肯定してくれる優しさがあり、自分も彼の音楽のように生きていきたいという目標でもあります。ないのですが、ドラマや映画の演出・脚本を手掛ける源 孝志さん、三谷幸喜さん、宮藤官九郎さんの携わる作品にはいつも支えられていると感じます。撮影の真っ最中、焦ったり悩んだりした時に「メディアを通して自分が作りたいものはなんだろう」と問うと彼らの作品が「好奇心の方向性」を示してくれることがあります。Q これからどんな作品を作っていきたいですか?大学に入り、それまで映像一本だった自分も、デザインや木工などを取り入れて表現する術が広がったことで『〇〇』を作っていきたい!と昔のようにはっきり考えることが難しくなっ「2年次授業 ブランテッドムービーD班『迷走する現代の異端児』」Q 在学生・受験生に向けてメッセージをお願いします。作品制作には、自分自身の内面と、外界の現象を照らし合わせ真剣に向き合うというのが必要不可欠です。つまり自分を客観的に分析し発表するという力は結局、社会や受験にもつながると思います。また予想される未来に囚われないで、まずは今を生きること。わからないことは不安の要因です、わかっている範囲で、生きれば良いと思いますよ。てきました。しかし、鑑賞者を「笑わせたい」だったり「ワクワクさせたい」という基本的な気持ちはこれからも大切に作品に反映していきたいです。Q 受験生に向けてひとことメディア芸術コースは、最新のデジタルもアナログも、考えうる全ての表現をサポートしてくれる先生方やスタッフと設備が整っています!一つの表現手法に縛られず、常に新しい表現を探したい好奇心旺盛な方にとって、これほど最適なコースは無いでしょう。また、表現する媒体がイマイチはっきりしない、探しているという方にとっても、メディア芸術コースが一番選択肢を広げられるはずです!Q 今後どのような活動をしていきたいですか?仕事では、これから国内・海外で超大型ミュージアムのプロジェクトが進行しています。私たちはこれからも研究・挑戦をし続け、同じ作品でもどんどん良くなるようにしていきたいです。個人的にも自分の視野を広げるよう趣味を増やしたり、さまざまな場所を尋ね、いろんな人と触れ、豊かな人間になりたいです。2022年卒業制作「DURING」Image-Labの卒業生に聞いてみましたImage-Labの在校生に聞いてみましたInterviews伊藤銀児さん2022年度学部卒業春野光琳さん4年生3-4
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