メディア芸術コース2023パンフレット|多摩美術大学
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18イイメメーージジララボボ1998年にオープンした情報デザイン学科の歴史は、デジタルメディアの歴史にほかなりません。この20年の間にイメージの世界は激変を遂げています。いまや数千億枚と言われるデジタル写真が毎日、爆発的に増えてゆくなかで、わたしたちは何をどう表現することができるのでしょう。そこで重要になるのは、記憶や感情や身体感覚であるとイメージラボは考えています。創造の扉を開ける鍵は、自分自身のなかにあるのです。写真、映像をはじめあらゆる種類のイメージを対象に、幅広い知識と鋭い感性を身につける。イメージラボは常に未知の地平線を見つめながら旅を続ける、創造のキャラバンです。[アニメーション]これまで、誰もがかつて持っていた、しかしいつの間にか忘れてしまっていた自由や楽しさを大人たちが取り戻していく話を描いてきた。卒制に取りかかるにあたり、実家の庭に長年放置されていたスケートボードのことを思い出した。父の親族がかつて乗っていたそれは、私が幼い頃から現在に至るまで、誰にも触れられぬまま存在を忘れられていた。まるでそれが思い出の中に置いていかれてしまったうつくしい日々の象徴のように思えそれを題材とした。歳を重ねるにつれ、輝かしい思い出ばかりをうつくしい日々として、あの頃は良かった、と思うことが増えていくのだろう。しかし、少しのきっかけで現在やこれからの未来をうつくしいものすることもできるのではないかと考え、制作に取り組んだ。土屋 さくら都築 翔We used to love ourselves.[写真]私はこれまで写真に触れてきて、現代の写真が人々の美意識の根幹に強く影響を及ぼしているということ、そしてそれによって抑圧が生まれていることを知った。 各々が追い求める理想を個人が追求するのではなく、世界が他者に理想を強要し抑圧が生まれる時、私はそれを許すことができない。 だからこそ、世界のそのままのありようを残そうとせず、客体としての美しさを作り上げようとする現代の写真の価値観から解脱するために、この作品を写真として私は提示する。うつくしいひび担当教員 佐々木 成明/港 千尋/伊藤 俊治ヲノ サトル/齊藤 彰英/日原 聖子/古屋 和臣ImageLab.

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