情報デザインコース2024パンフレット|多摩美術大学
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13PBL(Project Based Learning)は、所属学科や学年の枠を超えて、横断的研究や社会的課題に取り組むプロジェクト型授業です。全学科、全学年の学生が履修でき、単位を取得できます。情報化社会における職業のあり方について、技術面だけでなく、社会との関わり、人材の育成、国際化など幅広い側面から扱っていきます。また、教職を目指す学生の、高校を卒業して就職する生徒に対する進路指導力の育成だけでなく、指導する立場の教師の情報化社会への適応力向上も目指しています。デザイン領域が広がり、デザインの持つ表現を通して創造的に構想していく思考が、多くの分野から注目されています。モノやコトのデザインに留まることなく、人々の生きている活動そのもの、誰もが持つ創造的活動をデザインの視点から捉えたとき、様々な様相を見出すことができます。デザイン独自の思考方法について、いくつかの事例を通して捉え、その可能性と意味について探求していきます。明日の天気を知るために天気予報を見る。乗り換えをするために路線図を見る。これらの行為は日常の中に当たり前にありますが、私たちは実際の明日の天気や路線図のカタチは、自分の目では見ていません。誰かが、情報を読み解いて再構築してカタチにしたものを通じて、いろいろな情報を得ているのです。この授業では、人類の「情報視覚表現」のはじまりから、技術革新によってどのように表現が進化してきたのかを辿りつつ、その中で人々の価値観がどのように変化してきたのかを情報デザインの視点で考察します。また、現代のテクノロジーやビジネスの激しい動きの中で、デザイナーやアーティストはどのような情報を何のために視覚的に表現していくべきかを学んでいきます。ウェブやスマートフォンアプリなどユーザーが利用するデジタル製品やシステムのUI(ユーザー・インターフェース)、UX(ユーザー体験)をデザインする際に必要になる専門的な知識を学びます。人間の認知と思考(知ること・理解すること)についての理論から、具体的に社会で活用されている事例を元に、どのように実践するかの基礎を探っていきます。普段何気なく利用している学内の施設や学食には、「不便なんだけど仕方なくやっている」「言われてみると確かにこのほうがいい」ということがたくさんあります。身近に存在する「望ましくないコト」をつぶさに観察しながら、さらにその背景にある大きな社会問題と掛け合わせてアイデアを検討し、もっと学生生活を豊かにするためのサービスやアプリのデザインを通じてより良い経験の作り方を学びます。この授業では、メディアをデザインすることは、一体なにをすることなのかについて探究してみます。「メディア」とは何かと何かを媒介するものを指す言葉です。例えば、文字を使って人と人がやりとりするとき、その媒となるのがメディアというわけです。また、メディアは物質であり、文字の場合であれば、古くは粘土板やパピルス、あるいは動物の革や紙、文字を記したり刷るためのインクをはじめ、現在のコンピュータに至るまで、多様な形をとります。そのようなメディアをデザイン(設計)する上では、メディアや人間についての理解に加えて、メディアが人間にどのような経験をもたらすかという観点が不可欠です。言い換えれば、メディアをデザインするには、人間・メディア・内容と、これらの組み合わせから生じる経験を視野に入れる必要があります。各回では、書物、図像、映像、ウェブ、デジタルゲームなどを題材として、メディアと人間のあいだで起きることをみなさんと一緒に探ってみるつもりです。インタラクションデザインとは、人と人、人とモノ、人とコトなどが関わり合った時に発生する相互作用を対象としたデザインです。これが扱う多種多様なテーマについて、最新の研究事例を紹介しながら概観していきます。これまで取り組まれてきた様々な課題と解決方法を知り、これから起こるであろう課題と解決方法を考察します。そして次世代のデザインに思いを馳せます。情報に対する考え方やメディアの変遷、社会のあり方とデザインの関係を歴史的に把握することは、現代情報社会におけるデザインにとっての基礎事項です。この授業では、情報とデザインがどのように関連し合い、変化し、現代の情報社会に至るかを時系列に眺め、基本的な流れを理解することで、デザイン全般にとっての重要な情報の意味を把握することを目的とします。主に情報が過去から現在までどのように捉えられてきたか、メディアと情報のあり方についての把握に重点をおき、社会の変化、メディアの変遷、情報技術の発展によるコミュニケーションとそのデザインについて、時代ごとに詳察します。本来、制作とは孤独なものです。その孤独に向き合い制作を続けるには、制作の場とともに心を満たす他者と関わり合いや自然と接続する場が必要です。かつてはそのような場が社会の中にいくつもありましたが、近年はコロナの禍に巻き込まれること等によって人間関係は疎遠になり、自己の存在はゲームやネットの中に留まりがちです。さらに近年の社会は、目的や合理性が支配的で、何か目的がないと価これからのネットワークメディアは、先端テクノロジー抜きには語ることができません。しかし、それらの技術的な知識を得るだけでは、それが世の中にどんなインパクトを及ぼすか的確に予測することは難しいのです。かつてパーソナルコンピュータの構想を描いたアラン・ケイは「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」と述べました。技術に対して受動的に流されるのではなく、デザイナーは、積極的にそれらを使いこなし、次の時代を自ら切り開くことが必要です。そのための手掛かりをこの授業では提供します。現在、情報システムはあらゆる場面で使われるようになりました。情報技術は「現代の読み書きそろばん」として、現代生活において不可欠なスキルとされています。しかし、情報技術分野は進歩が速く、その変化に追いつくことは容易ではありません。それでも、基本的な原理をしっかりと理解していれば、新しい技術や変化に対応することが容易になります。この講義では、コンピュータを含む情報処理や通信技術について、基本的な動作原理から最新のテクノロジーまで、様々な側面から紹介します。情報処理システムに関する基礎知識の習得を目的としています。社会とテクノロジーをテーマに、重要と考えられるいくつかの思想や潮流に注目して、これからのデザインに必要なことについて考えます。まず、行き過ぎたテクノロジーや人間中心に警鐘を鳴らし、人間と道具のバランスを取り戻すことを提唱する「コンヴィヴィアリティ」。次に、世界は一つという欧米による支配・搾取・抑圧的価値観を浸透させ、人類を危機に陥らせているモダニティ(近代)と、それを助長してきたとするこれまでのデザインを批判し、根本から捉え直そうとする「プルリバーサル・デザイン(多元世界に向けたデザイン)」。そして、問題解決ではなく、問題提起に重心を置き、思索と対話を促す「スペキュラティヴ・デザイン(クリティカル・デザイン)」。これらの理解を深めるべく、講義に加えて、事例を用いたディスカッションや、思考実験を交えて授業を進めていきます。値がないように錯誤される傾向があります。本来、モノゴトの多くは複雑で最初から目的がわかるようなものは稀です。特に美術は探求的に取り組む中で到達する豊穣な世界があります。このような背景を鑑みれば、文化の砦をなす美術を学ぶ場に圃場を設けフィールドワークで大地を「耕す(cultivate)」ことは、心身を自然や土に接続することになります。それは「文化/教養を指す(culture)」と同一の語源気になる人も気にしない人も、みんなかかわる著作権。「デザインのプロ」として、情報の発信と受信の両面に主体的に関わっていくための基礎となるルールの素養を身につけることがこの授業のねらいです。著作物を中心とした知的財産のルール、それを扱うときに必要な契約のルールについて、みなさんで理解を深めてまいります。作品を制作するにあたって、他人の作品はどのくらい使っていいの?使いたいときどんな手続きが必要なの?手続きしないで使えるのはどんなとき?自分が創作した作品を勝手に使われたら何ができる?——いろいろな疑問があるのではないでしょうか。科学技術の発達によって、より多くの情報が生み出され、それがより多くの人々の間で流通するようになった今日、私たちの社会は、その情報にどのような価値を見いだし、どのような権利を認めるのか、それをどのように扱うのか。そのルール(法律)の仕組みと体系を具体的に理解し、自分でルールを使える「デザインのプロ」を目指しましょう。情報技術の発展はめざましいですが、人間の生活、ルールは、簡単には変わりません。結果として、情報技術を「よい」と思って利用していることが、ルール違反になってしまうことがあります。この授業では、まず、著作権、個人情報保護、知的財産権などについて述べます。その後、倫理的な問題、特にジレンマに関わる問題を取り上げ、法的議論が技術進化に追いつかない現代において、何を大事にして振る舞うべきかを議論し、人工知能が普及する将来の情報社会での指針を見つけるきっかけを育みます。映像を中心としたさまざまな表現領域を「時間軸上の情報デザイン」という観点から捉え直します。雑多な作品群のケーススタディを通じ、領域横断的なメタ視点を持ってもらいたいと考えます。であるラテン語の「耕す(colere)」に由来する、文字通りの「心を耕す修養」が可能な内省を促し癒す場を形成することでもあります。制作の学びと一対になる「心を耕す」もう一翼の学びの場を大地を通じて拓き、成長する植物をモチーフに時間軸を持った表現を思考し、サスティナブルな社会の問題や情報を理解すべく、食や農から学びます。※ 2025年度以降は変更になる可能性があります。専門講義科目情報と職業楠 房子デザイン思考植村 朋弘情報視覚表現論清水 淳子認知科学池田 拓司UI/UXデザイン基礎植村 朋弘|伴 真秀メディアデザイン論山本 貴光インタラクションデザイン鈴木 健司情報デザイン史高橋 裕行自然農と食のフィールドワーク馬場 殖穂|矢野 英樹ネットワークメディア論高橋 裕行情報システム論市川 裕介社会デザイン論高見 真平タイムベースドデザイン論阿部 舜著作権法塩澤 一洋情報と社会辰己 丈夫LECTURE CLASSPBL

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