演劇舞踊デザイン学科 第4期生 卒業制作 演劇公演「□□□・ミーツ・□□□」
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千葉:色んな基準があったよね。自分たちのやりたいことだったりとか、逆に出来ないことだったりとか…。元々演劇がそういうとこに縛られていると思うんだけど、コロナ禍の影響も相まって、漠然とした不安しかなかったね、最初は。野上:最初の方で不思議だったのは、みんなで1つのものを作るということにとらわれず、いくつかの企画を同時並行でやろうとする人がいなかったこと。みんなで1つの作品を作るという意識だけは固まっていたように感じたんだけど、それについてはどうですか?藤井:企画を考えているときは自分の企画のことしか考えられなかったです。企画が出てから、何個かの企画を同時に進めようって決まっていくのかなって。でもなんとなくみんなが1個のものを決めようとしていた気がしていたんですけど…。下川原:うーん、そうねえ。それもあるし、去年色んな企画が上がってそれを同時並行でやるっていう事をやったから、卒業制作は別の形式を取りたいっていうのがあったのかなとは思った。薮田:同時並行というより、合体させちゃおうみたいな意見の方が多かったよね。例えば水芙(小畑)の企画のパフォーマンスを取り入れたいだとか、裕香(下川原)の企画の映像技術を取り入れたいだとか。本体にするには要素が足りない企画が多かったから、合体するという方向に話が進みやすかったのかなと思う。藤井:手法が多かったよね。もしそうじゃない企画が5個ぐらい上がっていたら、そこから3つ選ぼうとか、なっていたのかなと思うけど。薮田:そうだよね、最後の多数決終わった後も他の企画も消さないで欲しいって言う意見もあったもんね。だから、ちよりさん(藤井)の企画を活かした場合どうなっていたんだろう。千葉:決定後の企画者会議のときは残す話はなかったけど、残留物はあるんだろうなという感覚だけはあった。決して今までの過程が無くなるわけじゃなくて、企画決定までに今作の演出家と脚本家もいたわけだから、何かしらの影響を受けて、今の作品が作り上がっていくんだろうなと。そういう意識もあって、こういう形になったのかなあと思った。野上:最初、薮田さんは運営会の発足にかなり苦心していましたよね。薮田:そうですね、運営会は苦心していましたね。野上:みんなひとつの企画をやりたいわりにまとまるのが苦手というか、ちゃんとレスをしてリーダーをもり立ててっていくっていうことはあまりしないんだなっていうのが最初の印象でしたね。言っていることとやっていることが結構矛盾しているんじゃない?っていう(笑)。藤井:最近もそうなんですけど、やりたいけどどうやっていいかわからない。で、やっぱり自分からはあんまりやりたくないみたいな感じがあります。あの、マクベス夫人のセリフ、何だっけ、「名誉は欲しいけど自分の手は汚したくない」みたいな。あれをすごく思い出しました。野上:失敗したり傷ついたりするのがすごい怖いっていう印象を私は受けましたね。なんらかの運営委員会が必要なのは分かっているんだけど誰かやらないかしらっていう、そんなちょっと他人行儀な印野上:その後で皆さんも企画を出してくれて、残念ながらそのまま採用ということにはならなかったけれども…。どうですか 出してみて。さっきの薮田さんの言い方で言うとみんなそれぞれに傷ついてここに来たと思うんですけれど…(笑)。薮田:企画者会議、本当に凄かったですよね。下川原:つらかったね(笑)。野上:みんな顔が出てればいいんだけどさ、zoomでの会議は本当にただアイコンと名前が出ているだけでさ。薮田:怖いんですよ、あれもうほんとに。トラウマになりそうですもん。千葉:カンパニーデー1の無言の時間も、すごく怖かったもん、あれ。藤井:怖かったね。千葉:動きがあればわかるんですけどzoomだとマジで無音が続くんで。藤井:こっちが呼びかけて何も返答来ないと、これが駄目な間か、それとも本当に何もないから無言なのかっていう見分けがつかないから、より不安になるよね。野上:だいぶやっぱりプレッシャーだよね。誰かしらがカンパニーデーで涙を流すような時期がありましたよね。薮田:それで言うとやっぱり俺は裕香が一番に思い出に残ってますね。藤井:裕香は元々自分から企画を出していくっていうより役者一筋で象を持っていたんだけど、その中で薮田さんが率先して傷ついてくれたという感じがあって、それを庇うように全員で頑張らないといけないんだなっていう心持ちになった気がしますね。薮田:だとしたら成功だったのかなと思いますね。俺は神輿でいいなと思っていたんですよね。とりあえず失敗したら全部俺が責任負いますって気持ちで最初立ち上げたのが、最初の運営会を作るための会になりました。そこでの失敗もたくさんあったし、俺が至らないことも多かったんですけど。野上:いやいやいや。でもまあ、やっぱりみんな傷ついて失敗しながらクリエイターとして生きていくわけですよね。だからその最初の一歩が出せない状態だといつまでも成功も失敗もない。薮田さんはもう人柱だよね。で、ちゃんと傷つくっていう。薮田:はい、ちゃんと傷つきました。野上:だからみんなで作る大変さも、ちゃんと形になって出てきた気がしていて。あれがなければね、今もぐずぐずしていたかもしれない。薮田:それはやばい(笑)。藤井:本当にあれ大きかった!りんちゃんが出て、動いた!って思って。ここから進んでくんだっていう感じがあった。だからりんちゃんが離脱してからも、私その意思を受け継いでプロデュースチーム立ち上げている感じがある。野上:やっぱり誰かが旗を振らなければ誰もその方向がわからないし、皆で同じ方向に歩いて行けないのでそういう人は必要ですよね。薮田:よかったです。21注1:カンパニーデー…卒業制作に関わる学内のメンバー全員が集まるミーティングのこと。

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