演劇舞踊デザイン学科 第4期生 卒業制作 演劇公演「□□□・ミーツ・□□□」
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野上:企画っていう容れ物が決まっている状態だから、自分の魂をそこにどれだけ注げるかという段階にきていると思いますね。たぶんさくらさんのミーツという企画がいちばん容れ物的であったと思います。その他の人が自分の考えを反映させやすそうだなというようなニュアンスはありましたね。藤井さんの企画は物語、テーマがかっちりしていて…、藤井さんが演出でしたっけ?藤井:自分も入って演出部を立ち上げるっていう。何人かでやるっていう。野上:そうだそうだ。で、演出部を立ち上げて藤井さんが最後に決め多数決で三分の二票持って行って。藤井:ほんとあれびっくりしたよ!未だに根に持っているからね!(笑)。薮田:ちよりん(藤井)は三分の一票は取って行っていたわけじゃん。そういう点で多数決のダメさ加減はちょっとわかったよね。千葉:ダメさ加減ていうか、あの状況で多数決のままいっちゃったのはちょっとなんか違ったよね。でもどうしようもなかった。前日にいきなり合併しちゃったからなあ。藤井:そうなんだよ!薮田:あの後感想戦で、南雲がやっぱり合併したことをちょっとだけ後悔していたじゃない。あのまま自分一人だけの企画で続けてもよかったのかもなって思った、みたいなこと言っていたけど。千葉:やりきるビジョンというのが見えないっていうのもあっただろうし。それぞれの色んな思いがあるわけだから、あれもあれで致し方ないと思うけど。当日、進行の自分はパニックだった(笑)。この最後の合併と決定という流れに対して、最後そこが変わってしまったが故に、これは最適解ではなかったような気がするなあとか思っていました。多数決って簡単に数値化できるじゃないですか。それぞれの意見とか意思とかやる気とかを数値化するのって難しいと思っていて。本来であれば多数決プラスそれぞれ個人としての数値の総合で決めるべきだなとか思いつつ、その判断はあくまで客観的視点だしその数値も正しいかもわかんないっていう無茶苦茶なことになってしまうので、できなかったとは思います。野上:それぞれ企画をやりたい思いっていうのは誰も否定できないですよね。だからある程度形にできる動力があって人数が集まりさえすれば企画を実行できるみたいにすれば、もしかしたら多数決じゃなくても実行できたかもしれないね。15人以上必要とか最低条件を設けて。千葉:そういう細かいところまで考える余裕があれば違う可能性があったのかなって。反省というか、今後糧にできたらいいなと思いますね。野上:でも合併騒動は規模の小さい半沢直樹みたいでしたね(笑)。薮田:知らないうちに株がめちゃくちゃ動いている! ?みたいな(笑)。藤井:うん。半沢直樹の気持ちがわかった。野上:いやー、でもね、いいですよ、何事も経験ですからね。演劇を作るときには、私も全部ネタにしていますからね、私生活を。無駄じゃないですよ。野上:一昔前の演出って、パワーバランスがはっきりしていたところがあるから、身内に対しては言葉をあまり選んでなかったような気がしますけど、これからの皆さんの時代は言葉を使い分けることが重要だよね。何を自分が目指していて、どんな声かけをしたらみんながその方向に向かえるのかっていうのがしっかりあると、これからの時代のクリエイターとしてすごくいいと思うし、期待しています。私はギリギリ昔の世代なので、皆さんから逆に学んでいる感じがする。私たちの大学のときは女同士だけど酔っぱらって喧嘩して、頭掴んで川に沈めあったりして「てめぇこの野郎」とか(笑)。気心知れているからできたことだけど、そういうのは推奨することじゃないですからね。みなさんは優しい気持ちを持っているし、人を気遣えるし…。綺麗な言葉で意見を交換しあえるうちはそうした方がいいからね。薮田:うん確かに。野上:楽しくやってください。一同:ありがとうございます。るんだみたいな、なんとなくキュッとなっていたように思います。でもそれは全然悪いことじゃなくて、作家が自分のアイディアをソリッドに作品化することは、実はいちばん根本的な部分じゃないですか。誰かが責任持たないといけないんだから。それを示した企画はめちゃめちゃ良かったんだけど、なんとなく自分の考えを入れにくそうという印象を持たれたのかなと思いましたね。みんな自分を反映させたいという気持ちが結構あるのかなと思った。千葉:たしかにたしかに。野上:でも藤井さんのそういう強い作家性は絶対大事なので、卒業しても強く持ち続けるべきだと私は思います。それがないと作れないからね。23

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