演劇舞踊デザイン学科 第4期生 卒業制作 演劇公演「□□□・ミーツ・□□□」
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上演アドヴァイザー柴幸男ゼミでは、「つくる」ことを中心に授業を行いました。俳優である僕にとっては、俳優は何をつくるのか、つくれるのかを問う時間でした。戯曲を書く、演出を行うだけが「つくる」ではないでしょう。場をつくるのも、企てて段取るのも、手元の材料を整頓して組み立てるのも「つくる」でしょう。今年度の卒業制作は、いつも以上に見通しが立たない状態で始まりました。どういう演劇を、どうやってつくるのか。それを、どうやって話し合うのか。たくさんの“何を”と、“どうやって”を、(しかも格子状に分割されたzoom画面上で、)自分たちで探り当てていく。たまたま同じ大学の同じ学年になったばらばらの人たちが、一緒に乗れるひとつの企画を、どうすればつくれるかという難題が、最後の課題となりました。全員でつくり合ったひとまずの結実が今日のこの上演です。もちろん、思い通りにならないことも多かったでしょうが、彼らがそれを何とか、それぞれなりに面白がれていることを望みます。そして、今日ここに立ち会ってくださった皆様にとって、良い時間となりますことを願っています。上演アドヴァイザーキャリアのある演劇人が右往左往し、上演をどうするのがいいか世界の誰も満足のいく回答を出せていない中、初めての大きな劇場での有料公演をゼロから立ち上げた4期生です。すごい。打たれ弱く、計画性もなく、才能があるかないかもわからない不安と戦っている学生たち。ですが、本番という目標に向かえば、演劇をやる人間としてキャリアなどなんの関係もない。やるしかない、そして、みなさん、この状況で本番までたどりつき、一つの答えを出しました。お客様には、今日この舞台に立ち会って知った若い演劇人の今後の活躍にご期待いただければと思います。上演アドヴァイザーコロナ禍での卒業公演。感染対策やオンライン授業。初めてづくしに学生は勿論、講師も大変戸惑いながら進んできた。私は今年度4年の授業を担当することになって初めて彼・彼女らと関わることになった。が、いきなりのオンライン、しかも学生はプライバシーの問題でカメラをオフにした授業。声は聞けるが、画面の向こうに果たして「君たちはいるのか!?」という不安の中での授業が続いた。でも、そんな私の不安をよそに彼らはインターネットの亜空間をアイデアと笑いで満たし、また悩んだり悔しがったり、画面という壁をいつの間にか取っ払って気持ちを繋いでいた。なーんだ、未だに戸惑ってるのは大人サイドだけじゃん。そりゃそうだ。だって彼らにとっては慣例なんてない。全てが初めてであり、全てが新しく、これからも全てが挑戦なんだ。 初めてのことを怖がる必要はない、前例をなぞったって仕方がない。私はきっと彼らから多くのことを学んでいる。さあ、思う存分その一つ一つ美しい存在を大勢の眼前にさらけ出してきてちょーだい。そして「私たちはここにいるぞ!」という産声を世界に轟かせてください。27大石 将弘岸井 大輔野上 絹代

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