演劇舞踊デザイン学科 第4期生 卒業制作 演劇公演「□□□・ミーツ・□□□」
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監修彼らは新しい人々です。これからの未来を担う人々です。昨年から彼らと共に時間を過ごし、そう確信するようになりました。だから、彼らが創作する卒業公演を僕は楽しみにしていました。たぶん一番、楽しみにしていました。2020年。今年は誰にとっても特別な年になりました。コロナ禍は今も人類を翻弄し続けています。だけど、彼らだったら、なにか、新しいなにかを、生み出してくれるのではないか。僕の勝手な期待をよそに、彼らは「ミーツ」という希望を見つけました。全員が悩み、苦しみ、慰め合い、励まし合い、ようやく今日が訪れたと思います。身体があり、集団があるから、演劇はあり、人間はいる。そのどれもが今年、揺さぶられました。そのどれもが今後、変わっていくのかもしれません。でも、それは新型コロナウイルスが変えるのではない。それは、彼らが変えていく。そして、彼らに未来がついていく。私たちは、経験と技術を提供し、彼らが十分に活躍できる機会を準備する。そして、私たちこそが、彼らから学び、得ていく。と、僕は思います。本日はご来場、ご観劇、ありがとうございます。彼らと出会いに来てくださり、ありがとうございます。演出家・体験展示スタッフ初めての、東京芸術劇場、50名を超える座組、60分以上の上演、体験展示企画。緊張と恐怖の連続でしたが、この制作に関わった全ての人のおかげで今日までやってこれました。まずは、そんな皆と出会わせてくれた多摩美に感謝します。多摩美は多摩美でも上野毛校舎という、とても狭い校舎で私たちは4年間過ごしました。そのどれもが忘れる事のない大切な思い出です。1年生の頃の皆の溜まり場だった食堂。日によって味の差が激しい唐揚げに文句を言いながらも食べ続ける皆が不思議でした。皆が課題に使う荷物を置きすぎて、ガラクタだらけのゴミ溜め化した二号館地下。食堂のソファーが撤去されてから「寝てくる」といえば二号館二階ロビー。そこで午前授業の時間を忘れて午後まで寝てしまったことは今でも反省してます。冬の稽古終わりに食べるカップラーメンが凄く美味しい中庭。ご飯を食べるのも、遊ぶのも、稽古も話し合いも喧嘩も全部ここでしました。警備員さんに注意されるまで特に用もなく居続けたこともあり、いつのまにか「とりあえず中庭でー」が私たちの合言葉でした。ここでは好きな人達と好きな事だけをして過ごしてきました。一人が歌えば皆歌いだし、音楽をかければ踊り出す。そんな日常がもうすぐ終わろうとしています。また皆がそれぞれ新しいナニカとミーツする為のきっかけにこの公演がなればいいなと思います。未だに演劇の右も左も分からない私が、演劇のおかげで出会えた皆とつくる最初で最後の公演。そのおかげで出会うことができた、あなた。あなたと出会わせてくれた演劇と多摩美と皆に心から感謝します。22柴 幸男村上 さくら

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