版画専攻2024パンフレット|多摩美術大学
16/76

14多摩美の版画:3つの学び西洋の印刷術から始まる銅版画やリトグラフ、浮世絵で知られる木版画など、版画は東西に長い歴史を持ち、芸術表現メディアとして展開してきました。多摩美の版画では、長い歴史の中で培われた伝統的な技法を学び、その版画の特質を理解しながら、今日的な技法の展開を図っていきます。そうした技法研究を通じて現代の表現の可能性を探っていきます。木版画日本の多色刷り木版である「浮世絵」は、ドガ・マネ・ゴッホらの印象派の画家に衝撃を与えたことは広く知られています。木版画は、版木に凹凸を作り、絵の具を乗せて■る技法で、色を何度も重ねることにより柔らかく豊かな色彩表現ができます。また、油性インクやマチエールを施すことで厚く重厚な画面作りもでき、幅広い表現が可能です。銅版画銅という金属は私たちの生活の中で大量に使用されています。それは銅が加工しやすい金属だからです。普段使用している紙幣は銅に直接刻む技法「エングレーヴィング技法」が使われています。表現の世界ではデューラーやレンブラントなどの作品が代表的です。色々な技法を使って銅版に凹みを作り、そこにインクを詰め強い圧力をかけて紙に刷り取ります。銅版画は精緻で豊かな深い階層を得ることができる技法です。リトグラフ18世紀後半に技術が発明され、油性のクレヨンなどで描画した絵が印刷できることからロートレックやミュシャ、ピカソ、シャガールなど多くの画家たちがリトグラフを制作しました。石を版として使用するため「石版画」とも言われます。アラビアゴムなどの化学反応による水と油の反発作用を利用し印刷されるリトグラフは、描くだけでなく、転写や写真製版のように様々なテクスチャーが自由に使えることが特徴です。現在はアルミ版が主流となりました。シルクスクリーンシルクスクリーンは、かつては工業生産技術でしかありませんでしたが、アンディー・ウォーホールなど60年代のポップアーティストたちに使用されて以降、美術表現メディアとして位置づけられるようになりました。描画だけでなく写真も簡単に製版できる上に、紙、板、布地など平坦なものであれば素材を選ばず印刷できるのが特長です。今日の版表現の可能性を拡げてくれるメディアとして期待されています。長い歴史をもつ版画表現/技法とその展開を高度な専門性で学ぶ。専門的な版画表現/技法を学ぶ11

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る