版画専攻2024パンフレット|多摩美術大学
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2015年大学院修了、版画家川村紗耶佳Kawamura Sayaka16─大学院修了後、大学研究室や企業で働きながら、制作活動をされていますが、どのようにバランスをとっていますか?多摩美の版画:3つの学び─ご自身の作品について紹介してください。数ある版表現の中で木版画を選んでいる理由はなんですか?─いつぐらいから作家を志しましたか? 記憶・故郷をテーマにし、水性木版画技法で制作しています。人は皆、そのような場所を一つは持っていてその場所があれば、どこへ行っても自分は自分であると思っていて、そこから色々な世界は拡がると思っています。ですから、どのようなポジションに居ても自分の場所を持っていれば自己完結できるかなと思いながら制作しています。 木版画には人の手では表現できない、板木の木目が与える自然の力や、安心感(安らぎ、居心地の良さ)、そして、流れ続ける時間の繋がりを感じることも魅力です。また、水性木版画は他の版画技法より設備や道具の面でも整えやすいことも木版画を選んだ理由です。 版画との出会いになりますが、高校生の時に観た版画展だったと思います。当時、大学版画展*の選抜作品が全国の美術館を巡回しており、私は地元の札幌芸術の森美術館で*版画を学ぶことのできる全国の美術大学、教育系大学、短期大学、専門学校から代表の学生作品が一同に会する展覧会。初めて現代版画を観ました。 大学生、大学院生という当時の自分とそう変わらない歳の人が、高度な技術を習得していることや、版の世界に没頭している熱意が作品から伝わってきて、とても版画の世界に憧れたことをよく覚えています。 この体験や、高校の選択美術授業で木版画に挑戦したことが、美術大学で版画を学び、作家になりたい思いを強くしました。 働きながら制作をするのは本当に難しいです。私は企業での仕事は生活基盤のためと少し割り切って働いていましたが、広報デザイン室という部署に所属し主にカタログ制作やHP更新などがメインの仕事でしたので、作家活動に生かせることも多かったように思います。Interview

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