版画専攻2023パンフレット|多摩美術大学
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多摩美の版画:3つの学び今日では、コンピューターは身近となり、携帯電話で撮影した写真をネットで簡単に共有できるなど、まさにデジタルの時代となりました。一方でジャンル横断的な表現が顕著となり、これまでの版画の枠組みに収めることができなくなりました。こうした時代の大きな変化は版画の概念を自ずと変えていきます。多摩美の版画では伝統的な版画だけでなく、写真、CGなどのデジタル表現も学びながら、こうした高度情報化社会における表現の可能性を探っていきます。写真表現写真は、18世紀後半に発明されて以降、絵画と密接に関係し、写実主義、印象主義、シュルリアリスムなどの多くの画家たちに強い影響を与えてきました。一方で60年代以降の現代美術においては写真は絵画から離れて1つの表現ジャンルとして確立され、今日に至っています。こうした美術における写真表現の流れにおいて、デジタルを中心にした写真技術を習得しながら、写真の今日的な可能性について学びます。デジタル版画表現今日、デジタル技術によって完成度の高い作品を誰でも簡単に制作できるようになりましたが、ここではデジタル技術の習得を目標としていません。デジタルのプロセスで生まれる発想、思考を重視し、それらをデジタル上での展開はもちろんのこと、アナログの版画に展開することも検討していきます。つまり技術技法に依存しない、幅広い展開を見据えたデジタルの可能性を追求していきます。今日の多様な版表現現代の美術において絵画、彫刻、版画と言った1つのジャンルに留まらず、ジャンルを横断するような表現が増えてきました。さらに作品を制作するのではなく、人と人、人と場の関係を作ること、編集することを作品とするのも今日的な美術のあり方です。ここでは従来の版画の枠にこだわらず、そうした新しい美術表現の可能性を学びながら、制作において見出された版画の特質を様々な方向に展開することを模索していきます。ゲストアーティスト、美術批評家による授業最前線で活躍する美術家、版画家を招いて、彼らの学生時代から今日に至るまでの制作の経緯、考え方、問題意識などに関する講義やワークショップを通じて今日の表現のあり方について学びます。また美術批評家やキュレイターによる授業では、版画史、美術史における新しい視点や今日の美術動向などを学び、自身の表現をそれらの文脈で客観視しながら、その可能性を考えていきます。30写真、デジタル、ミクストメディア、インスタレーションなど今日の多様な展開を学ぶ。先端的な版画表現/考え方を学ぶ22

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