版画専攻2024パンフレット|多摩美術大学
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46多摩美の版画:3つの学び版画は印刷メディアとしての多様な可能性をもつため、挿画、イラストレーション、アーティストブックなど、アートとデザインの相互的な展開が歴史的に見られてきました。多摩美の版画では、印刷を主体としたグラフィックデザイン、イラストレーション研究や、絵本、ブックアートなどの本による表現の研究を授業に導入することにより、アートとデザインの横断的研究の可能性を探ると共に、学生各自の卒業後の進路を模索する機会にしています。アートブック研究版画は複数の印刷物を製作する技術として発展してきましたが、浮世絵のような印刷物だけに限らず、挿画、装幀などの本の製作にも使用されてきました。多摩美の版画では、製本の基礎を習得しながら、絵本、写真集、版画集、アーティストブック、ZINEなど今日の様々な本による表現の可能性を学ぶと共に、各自の普段の表現から展開された本を企画製作し、自分だけの本を作ります。イラストレーション研究15世紀に印刷術が発明されて以降、数多くの挿画が制作され、今日においても印刷の特性をよく理解する版画家たちがイラストレーションの仕事に関わるのは一般的です。このように版画におけるイラストレーションの歴史は古く、その可能性は美術だけでなく、デザインの世界にも拡がっています。授業では古今東西の流れや、ゲストを招いての実際の制作現場を学び、イラストレーションへの展開を考えます。印刷・グラフィックデザイン研究グラフィックデザインは一般的には情報を〈効率的〉に広範囲に伝達することを優先しますが、近年、小さなコミュニティーにおける個と個の関係性を繋ぐデザインがでてきました。そこでのデザインは、単に消費されるのではなく、人に実際に関わる印刷物としての完成度が高く、様々な関係を構築する作品として評価することができます。こうしたデザインをアートとデザインの横断的な版画表現として捉えて学んでいきます。ゲストデザイナー、イラストレーターによる授業最前線で活躍するデザイナー、イラストレーターを招いて、仕事内容、技法、プロセスなどの実際の制作現場を伺いながら、デザイン表現の創造性や、個と個、個と場などの関係を取り結ぶデザインの可能性について学びます。それと同時に卒業後の学生各自がどのように物作りに関わっていくのかを具体的に模索していきます。デザインの創造性を学び、アートとデザインを横断的に研究する。デザインへの展開を学ぶ33

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