版画専攻2023パンフレット|多摩美術大学
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─韓国にも美大は多くあると思いますが、なぜ日本に留学を決めましたか? そして多摩美術大学版画専攻を選んだ理由も教えて下さい。 韓国のアートフェアに行ったときに、版画に興味を持ちました。当時の私には、版画は単に印刷されただけのフラットなイメージしかありませんでしたが、描いたような色の深さや表現の密度が感じられたり、表面には立体的な表情があることも知りました。フェアで気になった作品は日本人の作家であることが多かったので、それ以来、日本の美術と美術大学を調べるようになりました。その際、版画に関しては、日本が長い歴史を持った、最も先鋭的な国だと知り、版画を学ぶために日本に留学することを決めました。─入学を志望してからどのように受験準備を進めましたか? 韓国と日本の美術大学の入試内容が異なると感じたので、韓国で日本留学を専門とする予備校に通いました。 高校生の時は、モチーフや人物を写実的に描くデッサンを中心に行っていましたが、留学を決めてからは今まで積んできたその基礎力を活かしてさらに多様な表現に挑戦しながら自分にしか描けない絵を描こうと努力しました。 また、日本語を勉強するために日本語の塾にも通いました。─版画専攻に入学して良かったところはどのような点ですか? また、入学前とのギャップがあれば教えて下さい。 版画専攻に入学して良かったことは、版画だけでなく写真やアートブックなど様々な授業を同時に学ぶことができた点です。 入学前は伝統的な技法を中心にした版画を学びたいという気持ちが大きかったので入学後、版画以外の色々な授業が多くて戸惑うこともありました。 しかし、そうした多様な美術のアプローチを知る機会があったからこそ絵を描く視野が広がり、そこで学んだことを組み合わせて応用できる力をつけることができたと感じます。─授業や学生生活での印象的な出来事はありますか? 卒業制作展に向けての制作では、壁にイメージをシルクスクリーンで印刷して、そこにプロジェクターで映像を投影する作業をしました。 その時、同級生、後輩、助手さん、そして先生たちが 遅い時間まで一緒に残って手伝ってもらったことがとても嬉しく、印象的でした。 皆、自分の仕事のようにたくさん手伝ってくれたので、この経験は、私にとってこれからもずっと忘れることはできない思い出になることでしょう。─キムさんは多摩美術大学版画専攻の大学院に進学しますね。進学を決めた理由を教えて下さい。 版画専攻で学生生活をスタートしたものの、新型コロナウイルス感染症による登校制限などから、学ぶ時間が足りなかったと感じて、もう少し学びたいという思いが強くありました。自分の研究したいことがようやく見えてきた頃にすでに卒業が近づいていたので、大学院に進むことを決心しました。学生として学んでいく上で、先生たちとの円滑なコミュニケーションだけでなく工房などの施設が充実していることも重要なので、母校の大学院に進学を決めました。─修了後、どのような進路を考えていますか? 日本と韓国、どちらの国で活動しますか? 修了後も引き続き制作活動を続けていくつもりですが、それが日本と韓国のどちらの国になるかはまだわかりません。 他の国に行く可能性も考えています。─多摩美術大学版画専攻に入学希望の留学生へアドバイスをお願いします! 他人に左右されることなく自分のしたいことを表現することが大事だと思います。また、私は最初、日本語が上手く話せず苦労したので、入学後に先生と円滑なコミュニケーションを取るためにも、一生懸命日本語の勉強するようにしましょう。63版画芸術の長い歴史を持ち、最も先鋭的な国である日本で版画を学びたいと思いました。入学後、版画だけでなく、それ以外の多様な美術のアプローチを知ることができて、とても視野が広がりました。

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