黎明期からゲームに関わり、『三国志ロワイヤル』などの
アートディレクションからマネージャーとして組織づくりへ

多くのコラボ展開やシミュレーション要素で歴史マニアほかファンの枠を拡大した『三国志ロワイヤル』ではビジュアルオーナーとしてアートディレクションからリリース、運用にも携わり、現在はDeNAでマネージャーとして組織づくりを担う武安利幸さん。多摩美在学中に3DCGの面白さに出合い、スマホゲーム黎明期からゲームに関わってきた武安さんに、お話を伺いました。(2018年9月14日発行「TAMABI NEWS78号」より)

TAMABI e-MAGAZINE 2019.07.08

3DCG映画が飛躍的進歩を遂げた1990年代。多摩美の講座でその面白さに出合った武安さんは、コーエー(現・コーエーテクモゲームス)に入社し、海外勤務を経てDeNAに入社。スマホゲームの黎明期から現在まで、ゲームの最前線に関わってきました。そんな武安さんが見るゲームの面白さ、そしてゲームづくりに必要なこととは何かについて聞かせていただきました。

学生時代、3DCGの面白さに触れた衝撃

学生時代、上野毛キャンパスで開かれた講座に参加したのがきっかけで3DCGの面白さに出合いました。当時まだ高価だったコンピュータが数十台導入され、それを使って3Dで表現できる領域は、私の想像をはるかに超えていました。その出合いがきっかけで、グループ会社である映像会社を経て、コーエー(現・コーエーテクモゲームス)に入社。複雑な機能が組み込まれた高度な画作り、ステージもキャラクターも全部コントロールして見たこともない世界が表現できるとあって、同僚と、「俺たちがやってるのって、ほぼ神に近い」みたいなことを言い合っていました(笑)。何かもうそれぐらい衝撃的だったんです。

仮想空間だからこそ納得させる客観性を

3Dのキャラクターは格好いいだけでなく、ゲームにおける役割がちゃんとビジュアルで表現されているのも魅力でした。役割と表現がガッチリハマっていると、そのゲームの世界観がすごく気持ちのいいものになるんです。客観性を持ち、誰が見ても納得させるデザインが大事という感覚は多摩美で養ったのですが、逆に意味を持たない表現では良いものになりません。例えば『三国志ロワイヤル』で、豪華さの違いを演出しようとした時は、キャラクターに施す金の装飾の産地に違いがあるという設定にすることで、説得力のあるデザインを追求しました。そうした客観性の一方、ゲームの面白い点は、主観や作家性を盛り込める部分なんです。客観と主観の両方を行き来して、主観的部分を強みにできるのがエンタメの醍醐味。その点で、ゲームはもっとも優れていると思うのです。

▲『三国志ロワイヤル』キャラクターのラフ画。いくつものパターンに手直しが重ねられ、キャラクターが完成する(右図)

広がるゲームの解釈、その体制構築が必要

DeNA入社後は、アプリゲーム開発に携わっていましたが、その後は組織の拡大に伴い、マネージャーとしてデザイン組織の強化に努めています。いま、ゲームの解釈はどんどん広がっています。eスポーツのようにライブ感が楽しめるものも誕生しました。DeNAのミッションは、「その人の記憶と歴史に残る体験をつくる」ことで、その手段の一つがゲーム。未来に向けて制作体制を構築し、整備を行うのが現在の私の任務です 。

クリエイターを目指す後輩たちへ

新卒入社の人たちには「何かひとつ、理解を深めた職能を身に着けて下さい」と言っています。例えばキャラクターモデルを作る技術を掘り下げれば、そこに付随する動きについても分かってくるでしょう。理解を深めたい職能を見つけて、自分なりのプロダクトを世に出していってほしいですね。

▲ハイレベルな内容で定評のあるDeNAサマーインターンシップで指導にあたる武安さん。

【コラム】業界先駆けとなった多摩美の3DCG講座

武安さんをはじめ、多摩美の卒業生で現在ゲーム業界にて活躍している多くの人材が、90年代後半に多摩美の「3DCG講座」で学びました。「当時、業界に先駆けて3Dゲームの開発に取り組んでいたコーエーと多摩美とが、産学共同で取り組んだ夢のような講座でした。1台数百万円もする高価なパソコンで学び、ここから巣立った多くのゲームクリエイターが現在活躍しています(武安さん)」。当時は映画『トイ・ストーリー』やディズニーがフルCG作品で社会に衝撃を与え、新しい価値観が広まり始めた時代。まさに3Dアートの黎明期と言えるこの時、多摩美にコンピューターラボラトリーが設置され、ゲーム業界における新しい礎を築いたのです。

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