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テクノロジーを駆使して、生命活動や自然現象をアートとして提示

三原 聡一郎(04年情報デザイン卒業)


▲「自然の監視、自然の生成」(2019)
撮影=山本糾 写真提供=青森公立大学国際芸術センター青森

学生時代に培った、体験に重きを置く姿勢

音、泡、苔、土、微生物など自然現象から生命までを素材に、メディア・テクノロジーを用いた作品を発表し続ける三原さん。その作品は生物学的側面が強いことから「バイオ・アート」と呼ばれることもある。なお、在学中はサウンド・アートやネット・アートの分野に興味を持ち、制作活動をしていた。バイオ・アートという領域を認識したのは卒業後のことだという。

「この分野の画期的な点は、科学者が行うような遺伝子組み換え技術や生殖医療など、これまで個人の想像力が入る余地のなかった先端的な生命科学領域に対して、芸術が実践的に切り込めたことです。私は表現にメディア・テクノロジーをさまざまに活用していますが、常に意識しているのは、その技術や素材、現象が、『何らかの普遍性を考える方法であり得るのか』ということ。気になった現象や原理を調べて、ユニークな装置を1から設計することもたびたびです。ただ、自分の制作作品がバイオ・アートと呼ばれることには少し恐縮しています」

学生時代には今のような仕事をすることは想像もしていなかったという三原さん。ただ、当時も今も続けていることは、「本物を見ること」。そしてそのために、現場に足を運ぶこと。体験に重きを置き、制作に結び付ける姿勢は、多摩美での学生時代に培われたものだと話してくれた。


三原 聡一郎
三原 聡一郎

04年情報デザイン卒業

山口情報芸術センターの InterLab勤務を経て作家活動を本格化させる。 11年より、テクノロジーと社会の関係性を考察するために「空白」をテーマにしたプロジェクトを国内外で展開中。京都府在住。


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