「AI時代」と言われる今、10年後の社会で活躍できるのはどんな進路だろう

効率を求めるだけの課題解決は、
予測可能な結果しか導くことができない。
そんな時代にゼロからイチの価値を生み出せるとして、
注目を集めているのが「創造的な力を持つ人材」だ。

HIGH

AIやロボット等による
代替可能性が高い職業

野村総合研究所調べ

IC生産オペレーター 一般事務員 鋳物工 医療事務員 受付係 AV・通信機器組立・修理工 駅務員 NC研削盤工 NC旋盤工 会計監査係員 加工紙製造工 貸付係事務員 学校事務員 カメラ組立工 機械木工 寄宿舎・寮・マンション管理人 CADオペレーター 給食調理人 教育・研修事務員 行政事務員(国) 行政事務員(県市町村) 銀行窓口係 金属加工・金属製品検査工 金属研磨工 金属材料製造検査工 金属熱処理工 金属プレス工 クリーニング取次店員 計器組立工 警備員 経理事務員 検収・検品係員 検針員 建設作業員 ゴム製品成形工(タイヤ成形を除く) こん包工 サッシ工 産業廃棄物収集運搬作業員 紙器製造工 自動車組立工 自動車塗装工 出荷・発送係員 じんかい収集作業員 人事係事務員 新聞配達員 診療情報管理士 水産ねり製品製造工 スーパー店員 生産現場事務員 製パン工 製粉工 製本作業員 清涼飲料ルートセールス員 石油精製オペレーター セメント生産オペレーター 繊維製品検査工 倉庫作業員 惣菜製造工 測量士 宝くじ販売人 タクシー運転者 宅配便配達員 鍛造工 駐車場管理人 通関士 通信販売受付事務員 積卸作業員 データ入力係 電気通信技術者 電算写植オペレーター 電子計算機保守員(IT保守員) 電子部品製造工 電車運転士 道路パトロール隊員 日用品修理ショップ店員 バイク便配達員 発電員 非破壊検査員 ビル施設管理技術者 ビル清掃員 物品購買事務員 プラスチック製品成形工 プロセス製版オペレーター ボイラーオペレーター 貿易事務員 包装作業員 保管・管理係員 保険事務員 ホテル客室係 マシニングセンター・オペレーター ミシン縫製工 めっき工 めん類製造工 郵便外務員 郵便事務員 有料道路料金収受員 レジ係 列車清掃員 レンタカー営業所員 路線バス運転者

AIに置き換えられる
可能性が高い進路

LOW

AIやロボット等による
代替可能性が低い職業

野村総合研究所調べ

アートディレクター アウトドアインストラクター アナウンサー アロマセラピスト 犬訓練士 医療ソーシャルワーカー インテリアコーディネーター インテリアデザイナー 映画カメラマン 映画監督 エコノミスト 音楽教室講師 学芸員 学校カウンセラー 観光バスガイド 教育カウンセラー クラシック演奏家 グラフィックデザイナー ケアマネージャー 経営コンサルタント 芸能マネージャー ゲームクリエーター 外科医 言語聴覚士 工業デザイナー 広告ディレクター 国際協力専門家 コピーライター 作業療法士 作詞家 作曲家 雑誌編集者 産業カウンセラー 産婦人科医 歯科医師 児童厚生員 シナリオライター 社会学研究者 社会教育主事 社会福祉施設介護職員 社会福祉施設指導員 獣医師 柔道整復師 ジュエリーデザイナー 小学校教員 商業カメラマン 小児科医 商品開発部員 助産師 心理学研究者 人類学者 スタイリスト スポーツインストラクター スポーツライター 声楽家 精神科医 ソムリエ 大学・短期大学教員 中学校教員 中小企業診断士 ツアーコンダクター ディスクジョッキー ディスプレイデザイナー デスク テレビカメラマン テレビタレント 図書編集者 内科医 日本語教師 ネイル・アーティスト バーテンダー 俳優 はり師・きゅう師 美容師 評論家 ファッションデザイナー フードコーディネーター 舞台演出家 舞台美術家 フラワーデザイナー フリーライター プロデューサー ペンション経営者 保育士 放送記者 放送ディレクター 報道カメラマン 法務教官 マーケティング・リサーチャー マンガ家 ミュージシャン メイクアップアーティスト 盲・ろう・養護学校教員 幼稚園教員 理学療法士 料理研究家 旅行会社カウンター係 レコードプロデューサー レストラン支配人 録音エンジニア

AIに淘汰されにくい
創造的な力を生かした進路

あなたはどっちの進路をめざす?

もはや理系か文系かではなく
新たな基準で進路選択を考える時代がやってきている

出典:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に
〜601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算〜
株式会社野村総合研究所2015年12月02日ニュースリリースより

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込む、あるいはニューヨークやロンドンの知的専門職が、早朝のギャラリートークに参加するのは、虚仮威しの教養を身につけるためではありません。彼らは極めて功利的な目的のために「美意識」を鍛えている。なぜなら、これまでのような「分析」「論理」理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない、ということをよくわかっているからです。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
山口周・著 / 光文社新書

続々と出版される書籍のタイトルも
時代のニーズを色濃く反映

アートの思想やデザイン思考に代表される「創造的な課題解決」は、すでに実社会の様々な分野で生かされている。
課題を可視化し、解決まで導く高度な設計力と豊かな創造性は、
日本を代表する企業も経営判断に取り入れているほどだ。
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」山口周・著 / 光文社新書」には、
経営者とデザイナーやクリエイターとの関係を示す事例が掲載されている。

経営のクリエイティブ面について
大きく権限委譲される

クリエイティブディレクター
アートディレクター

佐藤可士和

多摩美術大学卒・
同大学グラフィックデザイン学科客員教授

プロフィールを見る

経営者にとってのデザイナーやクリエイターの役割とは?
〜ユニクロのロゴ作成経緯〜

2006年、ユニクロの海外でのビジネス拡大に先立ち、柳井正社長は『日本発』をエッジにしたグローバルブランディングを佐藤可士和氏に直接依頼。それを受けて佐藤氏が提案したことのひとつが、カタカナ表記のロゴだった。
「カジュアルファッションはアメリカで生まれた。(略)それを日本流に解釈してまた世界に出していくんですね。カタカナというのは、外国の言葉を日本語に変換する役割があるじゃないですか。(略)だから、ユニクロのやっていることを本当にそのままビジュアライズしようとすると、カタカナになる」(佐藤氏)。
このプレゼンを受けた柳井社長は即決でこれを採用。以後、佐藤氏はユニクロのクリエイティブディレクターとして、ブランド戦略全体を支え続けている。

ーー多摩美術大学で行われた授業(2018.6.9)の発言から構成

アドバイザリーボードとして
企業価値の創造、
経営思想の維持存続、
商品の企画デザイン、
ディレクションに
大きく関わる

プロダクトデザイナー

深澤直人

多摩美術大学卒・
同大学統合デザイン学科教授

プロフィールを見る

携帯電話事業に進出した際に
外部アドバイザーとなる

クリエイティブディレクター

大貫卓也

多摩美術大学卒・
同大学グラフィックデザイン学科教授

プロフィールを見る

彼らの共通点は、多摩美術大学の出身で、
現役の教員として後進を育てていることです

理系か文系かではなく、
創造的な人材になれるかどうか
進路選択を考える、
そんな時代がやってきている。

多摩美術大学

センター試験のみでも
挑戦できる学科

環境デザイン学科 (建築・インテリア・ランドスケープ)
/  情報デザイン学科 情報デザインコース
芸術学科(学芸員・研究者・編集者等)
/  統合デザイン学科
演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース

創造的な力を生かして活躍している
多摩美術大学を卒業した
企業人の声

メーカー

ソニー

授業でやっていたことが、
そのままソニーの仕事と地続きだった
デザイナー / 情報デザイン卒 田村 綾香 さん
ロボット・プログラミング学習キット『KOOV(クーブ)』。ブロックで自由な「かたち」を作り、「プログラミング」によって様々な「動き」を与えて遊ぶことができる。

授業でやっていたことが、
そのままソニーの仕事と地続きだった

デザイン部署では、リサーチから始まりコンセプトを固め、製品を作りあげていきます。その中で私の仕事は、顧客が商品やサービスを購入してから飽きずに使い続けてもらうための仕掛け、デザインを作ることです。振り返ると、大学で学んだ一つひとつに意味があり今につながっているなと感じます。「音楽プレーヤーの中で起こっていることを寸劇で表現する」という課題では「情報をわかりやすく、楽しく伝える」ことを、「観光客を観察し、気持ちを捉える」という実習では「シーンごとのユーザーの気持ちを考える」ことを学んでいたのだと、働き出して気付きました。また、初めての分野に取り組む際に、自分で考え必要なものを用意するという作業も、授業課題と根本的に同じだと感じます。もし私が、中高生時代に絵だけ、または勉強だけを頑張ってきたとすれば、今ここにはいなかったでしょう。ソニーには一般の難関大学出身の人も多くいますが、私には絵があるおかげで一緒に働けていると思います。またビジネスの現場では、誰にでも伝わるよう論理的な説明が求められますが、これは学業側のスキルかなと思います。両方を頑張っていたことに大きな意味があり、今に生きています。

クリエイティブセンター
UXプラットフォームデザイングループ
デザイナー
田村 綾香 さん 2008年 / 情報デザイン卒
ゲーム

バンダイナムコスタジオ

学生時代に培った美術の基礎知識、
造形力はゲーム制作にも活きる
課長 / 油画卒 木村 憲司 さん
TEKKEN™ © BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

モバイルアプリ『鉄拳』をバンクーバー支社と協働開発。日本側のアートディレクターを務める。

学生時代に培った美術の基礎知識、
造形力はゲーム制作にも活きる

子どもの頃からナムコのゲームが好きで、『ワルキューレの伝説』等のデザインを手がけられた冨士宏さんに憧れて美術系の進路を選び、今に至ります。3D格闘ゲーム『鉄拳』の歴代タイトルに参加し、現在はキャラクターCG制作やアートディレクターを務めています。プロジェクトは、キャラ、背景、エフェクト他、専門パートで分かれているのですが、その全体のテイストやクオリティーに責任を持つのが私の仕事です。多摩美で培った基礎力は、今も開発現場で活きていると感じていて、制作物や手法は変わっても、べースにはまず基礎力があり、その応用で“料理する”という感じですね。また、学生時代は具象画を描いていたのですが、周囲の抽象画や立体クラスの仲間達から、美術の多様な表現や考え方を吸収できたことも糧となりました。私達の仕事は、様々な個性のスタッフが1つのゴールに向かって、多くのお客様に伝わる製品にまで仕上げるチーム制作ですので、柔軟な思考やコミュニケーション力が求められます。そしてゲーム業界は技術革新、変化が激しい世界。近年は海外の制作会社や支社と協働する機会も増えています。若い頃は何でも観て聴いて体験し、表現の引き出しを増やしておくと良いですね。

VA統括本部 VA第1開発本部
VA1部 VA1課
課長
木村 憲司 さん 1997年 / 油画卒
IT

ヤフー

インタラクション研究から未来を見渡す デザイナー / 大学院情報デザイン修了 鈴木 健司 さん
『Fix and Slide: Garet Navigation with Movable Background』。先進UI研究業務として、タッチインタフェースのテキストカーソル操作の新手法を提案。国際学会に採択され、UIST2015にてBest Poster Awardを受賞した。

インタラクション研究から未来を見渡す

最新のIT動向を調査報告する部署に所属し、先進インタラクションのデザインやテクノロジー領域担当としてUI研究等を行っています。プロダクトの開発においてデザインと技術両方の理解が求められ始めています。私は多摩美でこの両方を広く深く学び、就職後この経験が大いに活かされています。

テクノロジーグループ CTO室
テクノロジーインテリジェンス
デザイナー
鈴木 健司 さん 2006年 / 大学院情報デザイン修了
メディア

NHK

信頼関係を築き、受け手を意識する
プレゼン力を培った学生時代
デザイナー / 環境デザイン卒 清 絵里子 さん
『NHK スペシャル・人類誕生』2018 年4、5、7月放送の3 回シリーズ。人類が誕生してからホモサピエンスになるまでの進化を辿っていく番組。

信頼関係を築き、受け手を意識する
プレゼン力を培った学生時代

最近では、高橋一生さん出演の『NHK スペシャル・人類誕生』のアートディレクションに携わりました。これまでの担当番組は大河ドラマやバラエティー、発達障害キャンペーンなどジャンルは幅広く、セットのような目に見える部分だけでなく、企画のイメージ構築から関わり、コンセプトデザイン、プロデューサーと現場との橋渡し的な役割など全体的に携わってきました。幼少期からテレビっ子だった私は、この業界を目指して多摩美を志望しました。その学生生活や課題を通して得たなかに、コミュニケーションスキルがあります。日々いろんな業種の初対面の方とプロジェクトを動かすためには、自分を知ってもらい「私はあなたの味方ですよ」と伝えて信頼関係を築くことが必須だからです。また、講評で培われた受け手を意識するプレゼン力は、現在の仕事にはもちろん、採用面接の頃から効果を発揮することができました。相手を退屈させないよう、見せ方や話し方も工夫したのです。そしてグループ課題仲間とフォローし合いながら創り上げていく体験は(班長として世話役やマネジメントを担当したことも含め)、まさにデスクという立場にある今の業務にそのまま生かされています。

デザインセンター
映像デザイン部 デザイナー
清 絵里子 さん 2007年 / 環境デザイン卒
宣伝・広報

博報堂

培われた経験が、受賞へとつながった アートディレクター / グラフィックデザイン卒 徳野 佑樹 さん
『注文をまちがえる料理店』。たとえ注文を間違えても、クスッと笑って許してしまうような、優しい気持ちを誘うシンボルマーク。

培われた経験が、
受賞へとつながった

『日産』や『カップヌードル』などマス広告を手掛ける他、リハビリをサポートする『COGY』はトータルでブランディングし、国内外で多くの賞を頂きました。多摩美で課題に取り組み人の目にさらされ、「全然伝わらないよ」と怒られながら培われた経験が、今に生きています。

TBWA\HAKUHODO Head of Art Disruption Lab
徳野チーム アートディレクター
徳野 佑樹 さん 2007年 / グラフィックデザイン卒
建築・インテリア・ランドスケープ

日建設計
コンストラクション・マネジメント

企画やマネジメントなど
プロジェクト全体の旗振り役を務める
コンストラクション・マネジャー / 建築卒 榎本 拓幸 さん
中京テレビ放送新社屋。ささしまライブ(名古屋)のテレビ局建設プロジェクト。デザイン・設計・コスト・品質・スケジュール等の総合的なマネジメントを榎本さんが担当。

企画やマネジメントなど
プロジェクト全体の旗振り役を務める

担当する物件の多くは、グローバル企業やランドマーク的施設です。私の仕事は、どこに誰が何を建て、どう活用していくのかといった企画やマネジメントなど、いわばプロジェクト全体の旗振り役。事業そのものをデザインする仕事です。仕事で出会う多摩美出身者に共通して感じるのは、突き詰め方の深さですね。講評会で多数の先生から指摘を受け、もまれ、時にはケンカしながら鍛え上げられた結果、総合的に非の打ちどころがないアウトプット力が養われたのでしょう。これは、技術以上に社会で役に立つ大きな学びだと思います。理系だった私が多摩美に引かれた理由は、今あらゆる分野でデザイン思考の必要性が問われているように、これからは芸術系が重要性を増すということ。技術だけでは機械やAIに取って代わられてしまうかもしれません。時間がない、お金がない、誰かが反対するからできない。そんなの全部逃げです。今がこれから先数十年の糧になると思って臨めば、本気でやれないはずがない。多摩美は、上下縦横かかわらずつながりが強いのも特徴です。周りの助けを借りながら、成し遂げるためには何が必要かをよく考えて自己表現の方法を探り出せば、道は広がるでしょう。

マネジメントグループ
コンストラクション・マネジャー
榎本 拓幸 さん 1999年 / 建築卒
※現・環境デザイン学科

一般大学から多摩美に編入学した
卒業生の声

2005年 入学 千葉大学工学部
2009年 多摩美術大学 編入 情報デザイン学科 情報デザインコース
Takram
デザイナー / 2011年 卒
長谷川 昇平 さん
スマートフォンから送られたメッセージが、送付先のプリンターから手紙としてプリントアウトされる
コミュニケーションツールを制作。アプリのUI/UXを担当。

理論と実技を補完し合える環境で
研究だけでなくモノを作りたい

意匠デザインを学び、卒業後は修士課程に進む予定でしたが、そこでは研究や論文が中心です。もっと何か作りたいという思いから他大学の情報を調べ、多摩美の情報デザインを知りました。芸術コースとデザインコースがあるのも魅力でした。絵の素養がない自分は実技だけでは不安なので、理論と実技を補完し合える環境があるのではと期待したのです。そして、そんな自分にも居場所がありました。僕にはプログラミングなどの得意分野があり、それは周囲には新鮮で重宝がられたのです。今もそうですが、仕事の多くはチームで取り組みます。チーム内で強みを生かし合いながら作りあげるので、不得手だからと心配する必要はなかったのです。現在はUI/UXデザイナーとして、スマホアプリなどのデザインやインタラクション、企業の文化やメッセージを伝えるブランディングの仕事をしています。これは単に機能性や見た目の美しさを追求するのではなく、人の行動や考え方の部分まで掘り下げるところから考えて生み出す作業です。発想からアウトプットまでのプロセスにおいて重要なことすべてを、多摩美で学びました。

1997年 入学 早稲田大学社会科学部
2002年 多摩美術大学 入学 グラフィックデザイン学科
株式会社クリエイターズ
グループ MAC プランナー / 2006年 卒
白石 尚貴 さん
パナソニック100周年のブランディング広告『パナソニックCreative!キャンぺーン』。タレントと開発者による対談ムービーの企画や制作進行を担当。

自分の気持ちに正直になることが
職種の選択肢を広げることにつながる

就職活動を始めた時、得意分野を持たない自分にはあまりにも選択肢が少ないことに驚きました。そんな時たまたまデザインの本に触れ、「こんなに面白くてかっこいい仕事があるなら自分もやりたい」と。迷いなく就活を止めて受験勉強をし、多摩美に入学しました。でも、同級生たちは絵がうまく感覚が優れていて、絵の経験もない僕が画力で勝てるはずもありません。不安と焦り、年齢的な気後れもあってとにかく成果を出さねばと、必死にやり続けた4年間でした。現在は映像の仕事に携わり企画や制作進行などをしていますが、当時の体験が全部糧となっています。例えばデッサンでは大局的にものを見る目が養われました。右脳と左脳を働かせ、本質をとらえる作業です。また、自分の立ち位置を見つけたことも成果です。僕は絵がうまい方ではないけれど、企画が好き。画力が必要なら得意な人に頼めばいい、と。進路を考える時、これからの社会で何が有利かと考えるのは違うと思うのです。気持ちに正直に、好きなことを追求し続ければ、いずれ点と点とが線でつながっていくと信じています。

2004年 入学 法政大学国際文化学部
2008年 多摩美術大学 編入 情報デザイン学科 メディア芸術コース ※旧・情報芸術コース
株式会社セルディビジョン
ブランドクリエイター  マネージャー / 2010年 卒
田中 茂裕 さん
800年の歴史を持つ寺院のブランドサイトを担当。禅を普及する寺院のブランド価値を高め、外国人参拝者やメディアの支持も獲得した。

大学時代どこで何を学ぶかは、人生の岐路
もっと自ら作り、可能性を広げたい

付属高校から進学し、入学後はデザインサークルを立ち上げ、学内でアートやデザインの展示を行っていました。でも将来のことを考えるようになり、また、選択した芸術批評・哲学のゼミで学問としての美術を学ぶにつれ、もっとこの好きな分野を突き詰めたいと思ったことが編入のきっかけです。研究ではなく自ら作りたかったことと広い可能性を求めて、あえて大学院ではなく3年生への編入を選びました。すでに就職の内定をもらっていた時期だったので、両親には呆れられましたが(笑)。情報芸術コースでは、「まだ誰も見たことがないものを形にし、発信するメディアを作る」ことを学びました。現在、例えばロゴやWeb、パンフレットなど、あらゆるデザインを通して企業のブランディングや地域の価値を最大限に高める仕事に携わっていますが、どんな企業も魅力はそれぞれですし、何ひとつ同じブランディングの手法はありえませんよね。つまり、多摩美でやってきたことそのままなのです。大学時代、どんな環境で何を学ぶかは、人生の上で大きな岐路となるでしょう。その意味で、多摩美で学べる領域の広さは、決して芸術分野の教養やスキルだけに限ったことではなく、社会のどの領域にも生かせる力やマインドを培える環境であったと思います。

2006年 入学 慶應義塾大学総合政策学部
2008年 多摩美術大学 編入 情報デザイン学科 メディア芸術コース ※旧・情報芸術コース
アーティスト / ミュージシャン / 2010年 卒 和田 永 さん
参加型プロジェクト『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』で、平成29年度(第68回)芸術選奨文部科学大臣新人賞「メディア芸術」部門を受賞した。Photo by Mao Yamamoto

誰かにできることはAIでやれる
僕にしかできない空席を探したい

「どうしたらそんな活動ができますか?」と聞かれると、困りますね。僕は常に妄想と衝動の赴くままに、「僕にしかできない面白い空席はどこだ?」と狙った結果、ここにいる。だって誰かにできることは、いずれAIでやれちゃいますから。僕は、前大学に講師としてみえた久保田晃弘先生(情報デザイン学科教授)の授業に衝撃を受け、楽器作りから音楽を表現したいと思い、一切迷うことなく編入を決めました。現在は国内外で音楽、美術の制作やパフォーマンスを行っています。古くなった家電製品を電子楽器として蘇生させ合奏する参加型のプロジェクト『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』に取り組むほか、ISSEY MIYAKEのパリ・コレクションの音楽にも携わってきました。ブラウン管テレビを使って演奏するパフォーマンス作品『Braun Tube Jazz Band』では第13回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を頂きました。今の活動への直接的な入り口が多摩美です。公開講評会には、キュレーターや業界の方々が見に来られ、そこから美術館でのパフォーマンスやイべントライブの実現へとつながりました。多摩美は、学内に収まらず常に社会とつながっていることも大きな魅力ですね。

学力で勝負したい受験生に
チャンス

センターⅡ方式(センター試験のみ入試)で
入学した在学生の声

私立鎌倉学園高等学校 卒業
大学院環境デザイン1年
大川 翔吾 さん
[ furniture4.0series ] 各面を「はめる」構造によって、薄い板材でも十分な強度を獲得し、担当教員から「これまでの合板製家具の常識を超えている」とコメントされた卒業制作。

文理選択に疑問を感じていた
クリエイティブなことができる進路を探し、
一般の難関大と美大を併願した

高校時代は基礎学問として理系を選択しましたが、文系理系に分かれることにはずっと疑問を持っていて、何か文理を繋ぐようなことをしたいと思っていました。高校3年の冬、偶然ある場所で座った椅子に感動してインテリア関係の勉強がしたいと思い、周囲にいる一般の難関大出身者からも多摩美を薦められ、併願しました。4年間学んだ結果、卒業制作では、思い描いていたような椅子をデザインすることができました。卒業制作展の公開講評会では、お招きしたゲストの先生から、商品化を視野に「欲しい」という評価を頂いたり、来展されたプロの方々に興味を持たれ名刺を頂いたりなど、私自身成長を実感しています。今年度、文部科学省による官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の第8期生に選ばれ、9月からべルリンに留学することが決まりました。ここで半年間、プロダクトとインテリアを学びながら、モノ作りの原点である工場、周辺諸国のアートやデザインを見て回り、貪欲に吸収したいと思います。僕は常に、モノ作りを通して社会全体を良くする方法はないか、人を豊かにする魅力的なものは何かと考えています。これからの学びを、将来への大きな糧にしたいです。

デッサンなし入試で入学した
卒業生の声
デッサンの代わりに数学を選択する入試(2001年度まで情報デザイン学科で実施)

ユーザーインターフェイスデザイナー
株式会社島津製作所

総合デザインセンター
デザインユニット
2004年 / 情報デザイン卒
清水 一教倫 さん
ラボの研究者たちがより使いやすく目的を遂行できるよう、画面周辺を含めた操作部分のデザインを担う。

論理的思考を備えたデザイナーは最強
どんどん活躍の場が増える

化学系の大学を目指していましたが、浪人中に多摩美の情報デザインを知り、これからはインターネット時代であることと、センター試験で数学を選択すればデッサン試験が不要なことから興味を持ちました。入学当初は、絵が得意な人たちの中で浮くんじゃないかと不安でした。でも、パソコン知識など自分の得意分野を重宝がられ、結果的には今でもみな深く、仲良く、交流が続いています。プログラミングなど抵抗感なく学べましたし、絵が描けない弱みはコンピューターでフォローできたので、強みをより強みとすることができました。先生に言われた「外見がよくても使いにくかったらゴミだ」という言葉が、今UIデザイナーとして製品づくりをする上での基本姿勢となっています。現在、病院の技師やラボの研究者が使用する機器の、操作部のデザインをしていますが、私たちは“感覚的にかっこいいもの”を作ることだけを求められているのではありません。使われている状況を踏まえたユーザー分析から本質的な課題を探り、アイデアを論理的に整理して“真に使えるデザイン”を目指しています。それを実践する過程で、美大で得たモノ作りの考え方と数学的思考の両方が必要になってきます。だから今私は、理系の人にこそ美大を薦めたいですね。社会では論理的思考が養われている人が強みになる。それを活かしてデザインスキルを積めば最強です。論理的思考を備えたデザイナーは、今後どんどん活躍の場が増えていくでしょう。

UXデザイナー
トヨタ自動車株式会社

デザイン開発部
コンポーネントデザイン室
UXデザインGr
2005年 / 情報デザイン卒
松本 謙太郎 さん

今後のカギとなるのがUXデザイン
得意な数学を生かし新たな価値をデザインする

映像に興味があり理工系を考えていました。ですが、将来の仕事を具体的に考えた時に、美大という選択肢があること、センター試験の利用が可能であることを知って、数学が得意だった僕はここだと思ったのです。情報デザインは数学的要素が必要な上ロジカルな考え方が求められるところが僕には合っていました。現在UI/UXデザイナーとして、車内のディスプレイの表示(GUI)やその操作に関わる部分を担当していますが、今後のカギとなるのがこのUX。自動運転が主流になった時、車の存在自体が大きく変わります。ユーザーに車内でのどんな体験を提案するかを考え、新たな価値を提供することが私たちの使命なのです。どう答えを導き出すか、そのプロセスはまさに多摩美で学んだこと。IT最先端のシリコンバレーでは、このプロセスはデザイン思考と呼ばれ、世界的にも重要視されていますが、多摩美でこの訓練を普通に行っていたなんて、今更ながら驚いています。