セガからマイクロソフトを経て起業。『ドラゴンファング』が
200万ダウンロード突破し、海外支社設立

ゲームの仕事に就くという選択のなかに、経営者としてゲームに携わるという道があります。起業するという目的意識を持ってセガ、マイクロソフトでキャリアを積み上げ、2012年トイディアを起業。開発したゲームの成功と台湾支社の設立を実現し、国内外で人材育成にも力を入れる松田崇志さんに、お話を伺いました。(2018年9月14日発行「TAMABI NEWS78号」より)

TAMABI e-MAGAZINE 2019.07.08

2012年にトイディアを起業。そこで開発したゲーム『ドラゴンファング』が200万ダウンロードを達成し、2018年には台湾支社を設立した松田崇志さん。学生時代から将来のキャリアを思い描き、それに向けて明確な目的意識を持って自らの進路を構築してきたそうです。これまでの過程と経営者としてゲームに携わるやりがいについて聞かせていただきました。

全ゲーム市場に挑戦しようと会社を作った

スマートフォン向けのゲームを作ろうと2012年にトイディアを起業し、そこで生まれたのが『ドラゴンファング』です。当時10名弱のメンバーで、2018年に200万ダウンロードを達成しました。

スマホゲームからスタートしましたが、当然ゲームをするのはスマホだけではありません。出会ったこともない海外の人や市場に自分のゲームを広めたい、といった思いもあります。多摩美での教えの影響が大きいのですが、「言語を越えいろんな人たちが、遊びを通じてコミュニケーションをとれるツール」を、ゲームという形で生み出していく会社を作りたいという思いでトイディアを立ち上げました。「この世のゲーム市場全てに対して、自分たちが作ったゲームを出す会社にしよう」と取り組んでいます。

▲台湾支社の様子は、社内に設置されたテレビで常に繋がった状態。マイクもあり、話しかけるとすぐ会議が始められる。

経営者になるまで貫いた高い目的意識

就活を控えた4年生の時、将来のキャリアを思い描いてみました。デザイナーとしての頂点はなんだろう? ゲーム会社や映画の世界に入って突き詰めたら、リーダーやディレクターにはなれるかもしれない。でもそれが上限ではつまらないと思ったんです。なので、その頃から経営者になりたくて。ゲームそのものを生み出す会社を自分で作ろうと思いました。経営者になることを見すえてゲーム業界に進むなら、ソフトだけではなくゲーム機自体も作っている会社でなければならないと考え、セガに入社しました。私はデザイナーにありがちな、知識や技術の深掘りだけをする気持ちはなくて、商品全体がどうユーザーに届くのかとか、それが今の時代にどういう価値を持つのか、といったことに関心がありました。それでブランドを作ったり自社の製品を育てると考えた時に、国内ではセガが良かったのです。でも、次に作品をワールドワイドに展開したいと思ったら、やはり海外の企業でその文化に触れねば、と。そこで1年半後にマイクロソフトに移り、約8年半勤めました。Xboxのゲーム開発をするアートディレクターとしてコンセプトアートを描き、各専門のアーティストに仕事を振り、美術に関して責任を持つという仕事です。その成果が認められて次はプロデューサーに。ゼロから企画を考えてチームを作り、ゲームソフトが完成するまでの全てにおいて責任を担いました。

総合的な能力が必要な世界

ゲームは優れた総合芸術だと思います。デザイナーをはじめ、映像や音楽など各専門分野が活躍できる。さらに、ユーザーも参加者になれる最高のエンターテイメント。そこに、多様な才能を上手くまとめていく力が必要なんですね。部分ではなく全体を作品として見る俯瞰した視点。それらをまとめつつ最終的に面白いゲームに仕上げるには、1つの作品として調和させていくバランス能力や、一方で危機予知能力など、作品を紡ぎ上げる総合能力が問われ続けます。日々悩みが多すぎてハゲるぐらい悩むんですけど、それを乗り越えて1つの作品を作った時にビジネスとしての成功であったり、多くの人の手に届く感動があったり。そういう点が素晴らしくやりがいがありますね。成功と責任が全て自分のものである。言い訳ができない場所で話がしたい。それらの根底にあるのは、やはりゲームへの愛です。

▲開発中のゲームをテストできるように、机周りにはコントローラーが。

【コラム】デザイナーから経営者を目指す意義とは

「私は、デザイナーであることに誇りを持っています。結局今の時代に求められることは、いろんな壁を越えた価値観を、人類全体がどう共有できるか。これから生み出されるサービスは全てそこに向かって行くべきだし、絵はそれを乗り越えられるんです。優れたアート(アウトプット)を出すことができれば、1週間かかる会議も1日で終えられるかもしれません。多くの人間を巻き込む力がある。その描く力が、経営の際にも役立っています」(松田さん)

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